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【願望あるのに恋人見つからず】

 就職活動と同じように、これからは結婚も自ら主体的に行動しなければできなくなる。そんな考えから「婚活」という言葉が世に広まったのは、今から10年近く前の2008年のことでした。

 確かに日本では、晩婚化と同時に未婚化が進行しています。単に結婚する年齢が高くなっているだけではなく、結婚を「しない」あるいは「できない」人が増えているのです。

 国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、15年の時点で生涯未婚率(50歳の時点で一度も結婚していない人の割合)は、男性が23.37%、女性も14.06%に達しています。中高年でもこれだけシングルが増えているのだから、年少世代はもっとおおらかな気持ちで独身生活を満喫する方法を考えても良さそうなものですが、実際には、男女を問わず、不安を感じる若者が少なくないようです。

 掲示板サイト「発言小町」にも、結婚願望があるのに恋人さえ見つからない男性の相談が寄せられていました。26歳の学生で、来年、社会人になるそうです。3年ほど前から、人生の中で一度も恋人ができたことのない現実に危機感を覚え、「ヨガを始めたり、料理教室に通ったり、婚活パーティーに行ったり、出会い系サイトに登録してみたり、SNSを始めたり、様々方法を試しました」と、投稿者の「たかはし」さんは書き込んでいます。

【あせらず、まずは落ち着け】

 「婚活」という言葉は流行語を超えて社会に定着し、いまでも根強く残る「結婚するのが普通」、換言すれば、「独身はおかしい」という常識を再生産し、未婚の男女の焦る気持ちを煽っています。男性学を研究する立場から、僕はよく男性に「まずは落ち着いてください」とアドバイスをしています。「たかはし」さんにも、ぜひこのフレーズをかみ締めて、自分がどうして結婚したいのかをよく考えてもらいたいものです。

 さらに「たかはし」さんの思いを聞いてみましょう。「相手の希望としては自身の年齢プラス・マイナス5歳程度で、お金にルーズで多額の借金があるもしくは定期的に借金をしている人でないことです」

 若者が結婚できないのは理想が高すぎるからだという批判を、しばしば耳にします。しかし少なくとも、今回の相談には当てはまらないようです。年齢以外にさしたる条件はなく、結婚を視野に入れるのであれば、お金にルーズなのは困りますから、この点については妥当な希望だと思われるからです。

【男性がリードしなければ恋愛に発展しない?】

 同世代の非常に広範囲な女性を恋愛対象にしているにもかかわらず、どうして「たかはし」さんには恋人ができないのでしょうか。ご本人は次のように自己分析をしています。「婚活パーティーで数人の女性と知り合うことはできたのですが、数回会って連絡が取れなくなってしまいました。デートの経験が全くないため相手を楽しませることができていない点と、会話が途切れることが多い点が原因ではないかと考えています」

 女性差別に厳しい視線が向けられ、男女平等に向けた取り組みが進む現代でも、私生活においては男性が女性を上手にリードできなければ、なかなか恋愛は発展しないのが実情です。普段からコミュニケーションに苦手意識がある男性にとって、自分が主体性を発揮して、女性と距離を縮めるのは難しいことです。

 ただし、すべての女性が男性にリードしてほしいと考えているわけではありません。したがって、消極的な性格を自覚している男性は、無理をして女性をリードしようとするよりも、積極性のある女性を探した方が恋愛成就への近道になるはずです。その意味では、「たかはし」さんのようなタイプの男性にとって重要なのは、「女性とはこういうものだ」という思い込みを解消することだと言えます。

【まかり通る「男性らしさ」を求める声】

 ところで、「たかはし」さんが26歳で学生であることについて、否定的な意見がありました。「26歳で社会にも出ていないとはかなり出遅れていますので、相手探しよりも就職が先です。中高生ならともかく、貴方の年齢のモテるモテないは稼ぐ力で決まります。その現実を直視しなくてはなりません」

 「婚活市場」という言葉がありますが、「婚活」の現場では、男性には「肩書と年収」、女性には「若さと美しさ」が求められるのが一般的のようです。 もしも男性ではなく、女性からの相談で、それに対して「若くて美しいことが女性の価値。あなたが年を重ねていて、さらに見た目も良くないのなら、自分の商品価値の低さを認識しなさい」という書き込みがあれば、きっと批判が殺到するはずです。しかし、男性に対して、このように肩書や稼ぎの重要性を説くのは、ネットだけではなく、日常生活の中でも、なぜか「通る」傾向があるように思えます。

 「男らしさ」と「女らしさ」は、コインの裏表です。どちらかだけを解消することはできません。「男性とはこういうものだ」という偏見が残り続ければ、当然、男性はプレッシャーを受けることになります。それに加えて、女性も「女らしさ」から逃れられなくなってしまうのです。この理屈が腑に落ちる人が増えれば、間違いなく、男女を巡る議論はもっと実りのあるものになっていくでしょう。

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