「親から美容整形しろと言われています」というトピを見つけました。30歳独身の娘に「お金を出すから、ほくろを取る美容整形を受けろ」と親が要求するのです。親御さんはほくろのせいで娘が結婚できないと思い込んでいるようです。これは世代間ギャップの典型的な例だと思いました。

image loading…

 親の世代は「女性の幸せイコール結婚」という固定観念に縛られていて、その道から外れている娘は不幸だと感じているのです。

 一方娘は、現在3年付き合っている彼氏もいて自分のことを不幸だとは全く思っていない。けれど真っ向から言い返すと親を傷つけそう、と悩んでいます。

 この親子、お互いを気遣い合ういい親子です。つまり似た者親子なのです。ただ、生きてきた時代によって価値観が異なっており、そのため気持ちがすれ違ってしまったのでしょう。

 私自身もほんの数年前まで、結婚して幸せな家庭を築いている女性が最高だという考えを引きずっていました。しかし「家庭より、仕事している方が俺は幸せなんだ」と夫から言われて目が覚めました。夫を家庭から解放してあげた結果、私自身も幸せになれたのです。しかし、こんな簡単なことに気づくのに40年近く費やしたかと思うと、我ながら情けなくなります。

 家族とは不思議なもので、気持ちがすれ違っていたかと思うと、ひょんなことをきっかけに関係が修復したりするのです。とりあえず、互いに「時代に刷り込まれた価値観」と「人類普遍の真実」の違いを確認し合うのが良策なのでは。

柴門ふみ(さいもん・ふみ) 漫画家、エッセイスト。1957年、徳島県生まれ。お茶の水女子大在学中から漫画を執筆し、代表作に「東京ラブストーリー」など。働く女性や恋愛をテーマにエッセーも手がけている。