生後4か月の初孫に「じいじ」や「ばあば」ではなく、名前で呼ばせようとする実父母に絶句したというトピを見つけました。

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 親や祖父母に対する呼び方は、各々(おのおの)の家庭で異なると思います。両親に対して「お父様」「お母様」と呼ぶ家庭もあれば、「パパ」「ママ」という家庭もある。「ダディ」「マミー」が流行(はや)った時代もありました。

 さて先日、50代半ばの友人2人と会った時、今親をどう呼ぶか問題になりました。彼女たちは母親のことをずっと「ママ」と呼んできたのですが、2人とも子供がいないため、母親を「おばあちゃん」と呼ぶには心理的抵抗があると言うのです。しかし、60歳近い大人の女性が人前で老母を「ママ」と呼ぶことに、昨今恥ずかしさを覚え、困っているというのです。

 「切り替えがうまくいかなかった。昨日までママと呼んでいて今日からいきなり、お母さんと言うのも……。中学ぐらいに思い切ってやっておけばよかった」

 確かに、家族の呼び方を切り替える時期を決めるのは難しい。子供には大きな勇気が必要だと思います。

 そうやって子供の立場から考えると、大きくなって人前で祖父母を呼ぶ時に恥ずかしくない呼び方が、孫にとって一番負担が少ないと思います。

 祖父母を「○○さん」と呼び続けた孫が、友達から「キミの家は変わってるね?」と言われる日を想像することができる人は、そういう呼び方を強要はしないでしょう。自分が「おばあちゃん」や「おじいちゃん」と呼ばれる不快感は、祖父母のエゴに過ぎません。孫に余計なストレスをかけないのが本当の愛情の注ぎ方だと思います。が、「じいちゃん、ばあちゃんを名前で呼ぶなんてカッコいい!」と感じる孫なら問題ないでしょうね。

柴門ふみ(さいもん・ふみ) 漫画家、エッセイスト。1957年、徳島県生まれ。お茶の水女子大在学中から漫画を執筆し、代表作に「東京ラブストーリー」など。働く女性や恋愛をテーマにエッセーも手がけている。