結婚して2年で亡くなった妻の実家から、「分骨してほしい」と言われて困惑している、というトピを見つけました。

image loading…

 妻の実家は「嫁に行ったのはたった2年だし、実家に戻って来たほうが、幼なじみや親戚が線香をあげに来てくれて本人も喜ぶはず」と言い、夫は「体をばらばらにするなんて可哀想(かわいそう)」と反対しています。

 私も結婚してすぐの頃に、「今死んだら、山口県岩国市の夫の故郷のお墓で、岩国弁の見知らぬ夫の祖先たちと一緒に葬られるのか。それは、なんだかなぁ」と思ったことがあります。当時は私もまだ20代前半で若かった。

 今なら、「骨に意識は、なし。どこに葬られようとノープロブレム」と言い切れます。

 このトピで、夫は「妻の実家は自分たちの都合ばかり勝手に押し付けてくる」と怒っていますが、「骨をばらばらに埋葬するのは可哀想」というのもまた、夫の勝手な都合だと思います。

 骨にも故人の感情が宿ると双方が考えているから、このようなトラブルが起こるのでしょう。どちらか一方が「骨は骨ですから、お好きなように。私は心の中で毎日故人に話しかけていますから」と手放せば、この問題は起きなかったはずです。

 近年、「夫と同じ墓に入りたくない妻が増えている」という記事をよく目にします。これもまた、根っこは同じだと思います。骨に自分の感情が残存すると思い込んでいるのでしょうね。

 骨をどこに埋葬するかは、故人の都合というよりは、生きている人の都合なのです。骨の埋葬を巡っていざこざになるより、夫が知らなかった子どもの頃の妻の話や、実家が知らない新妻としての娘の生活を互いに語り合うことが、一番の供養になるのでは。

柴門ふみ(さいもん・ふみ)
 漫画家、エッセイスト。1957年、徳島県生まれ。お茶の水女子大在学中から漫画を執筆し、代表作に「東京ラブストーリー」など。働く女性や恋愛をテーマにエッセーも手がけている。