ドラマ「わたし、定時で帰ります」が人気を呼んでいる。残業ゼロをモットーにしつつ働く女性ディレクターにさまざまな仕事の難題やプライベートのトラブルが押し寄せるが、持ち前のタフさとまわりのサポートで明るく立ち向かうという“働く女性応援物語”だ。

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 でも、よく考えれば「わたし、お昼で帰ります」ではなくて定時までしっかり働くのだから、こうやって宣言したり何かと闘ったりする必要もないはず。それでも「働き方改革」が推奨されているいまの日本でも、まだまだ「残業や休日出勤あたりまえ」の職場が少なくないのでこういうドラマも成り立つのだろう。

 そして実際に「いつも定時で帰る人は自分勝手だと思う」というトピがあり、レスの多くは「しっかり仕事を終わらせたら定時で帰ってもいいのでは」などのトピ主への反論だったが、中には「わかります」といった共感や同情の声もあった。おそらくその人たちは仕事が終わらずに帰るに帰れず、「おつかれさま」と定時で帰る同僚を見て割り切れない思いを抱いた経験を持っているのだろう。

 では、どうすればいいのか。ゴールとしては「みんな定時で」を目指すのがよいのだろう。まずは「長時間労働や残業は美徳ではない」という価値観をみんなで共有する必要がある。さらに仕事を終わる時間にバラつきがある場合、先に帰る人は残る人にねぎらいの言葉はもちろんだが、「明日、手伝えることがあったら言ってくださいね」などといった具体的な申し出をすることが大切だと思う。

 そして来年くらいまでには、「定時で帰る」が当たり前になっていて、そんなのはドラマのネタにもトピにもならないよ、という社会になっていてほしい。

香山リカ(かやま・りか) 精神科医、立教大教授。1960年、北海道生まれ。豊富な臨床経験を生かし、新聞やラジオ、テレビなど様々なメディアで、現代人の心の問題について発言している。